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2026/02/01 22:09

たまに聞かれる。

「なんで海なんですか?」って。

正直に言うと、
最初から「海を描こう」と思って描き始めたわけじゃない。

もともとは、マンダラアートのような模様の絵を描いていた。
その頃は、何を描きたいとか、何がテーマかなんて考えていなくて、
ただただ楽しく、筆の運ぶままに描いていた。

しばらくして、自分の絵が「マンダラアート」と呼ばれるジャンルだと知った。
調べてみると、心理学の中ではヒーリングアートの一種として扱われているらしかった。

今思えば、
自分の中にあった「癒されたい気持ち」を、
そのまま絵にしていただけだったんだと思う。


マンダラアートを描きながら、
ずっと考えていたことがある。

「自分のアートって、何だろう?」という問いだった。

模様を描き、色を試し、
いろんな表現を模索していく中で、
少しずつ、マンダラアート“だけ”ではない何かを探したくなっていった。

その過程で、たまたま選ばれていったのが、
青のグラデーションだった。

最初から
「海の中から差し込む光を描こう」と思っていたわけじゃない。

ただ、

ふわっとした浮遊感
何かに包まれている感じ
静かで、美しい世界

そういう感覚を描きたくて、
試行錯誤していった先に、
あのブルーの世界が生まれてきた。

そして描いているうちに、
自然と思い出していたのが、海と光だった。



僕にとって海は「帰ってこれる場所」だった

なんで、そこまで海が出てきたのか。
振り返ると、ちゃんと理由がある。

僕がサーフィンを始めたのは24歳のときだった。

波に乗るようになって、
ある時ふと、こんな感覚が湧いた。

「ここに帰ってくればいいんだ」と。

居場所があるという感覚は、
本当にすごいものだと思う。

どんなに頑張っても、苦しくても、
「戻れる場所がある」と思えるだけで、人は踏ん張れる。

しんどくなったら海に行く。
そこで一度、気持ちをリセットして、
また仕事や人生のほうへ戻っていく。

僕は、幼少期に
「何も気にせず、自分でいられる場所」
という感覚を、あまり持てなかった。

だから海は、
僕にとって初めて出会った、
無条件で自分らしくいられる場所だった。

それが、
僕の中の一番深いところに、
「癒し」として、しっかり根付いたんだと思う。


海と一緒に、人生が整っていった

神経症を抱えていた時期もあったけれど、
それが良くなっていったきっかけも、
海と出会ったことだった。

サーフィンのある生活は、
時間の感覚を大きく変えた。

潮の満ち引き、波のサイズ、風。
自然を基準にして、ライフスタイルが決まっていく。

その感覚が、
僕にはとても合っていた。

その後の留学やバックパックも、
気づけば「海が綺麗な場所」であることが前提になっていた。

思い返すと、
人生のコアに、ずっと海がセットされていたんだと思う。

楽しい時も、辛い時も、
海はいつも「場所」として、そこにあった。

陸にいてもビーチカルチャーが好きで、
遊びに行く場所は、自然と湘南の海沿いが多かった。


絵を描き始め、
今のブルーの作品が生まれたのは32歳。
2021年のことだった。

マンダラアートという表現を一度通過して、
「自分だけの表現って何だろう?」と考えたとき、
一番コアから、にじみ出てきたのが海だった。

狙って描いたというより、
にじみ出てきてしまった、という感覚に近い。



海は、きっと誰かの中にもある

人生は、
順風満帆な人のほうが少ないと思う。

誰にでも、
生きるのがしんどかった時期や、
居場所がなくて途方に暮れた経験があるはずだ。

海を見て癒された人もいるだろうし、
今も「居場所」を探している人もいると思う。

そんな人が、
僕の青い絵の前に立ったとき、
言葉にならない安心感や、
「ここにいていいんだ」という感覚を
感じてくれたことがあった。

その瞬間、
自分の過去と、表現したいことと、
人に届けられるものが、ピタッと重なった。

だから僕は、
自分、そして誰かの居場所としての海を、
描き続けることにした。

それは僕自身のアイデンティティでもあり、
誰かの役に立てるかもしれない、
社会との接点でもあると思っている。

だから今も、
僕はずっと、海を描いている。



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